記事: 春の入り口、揺らぐ心と体の整え方
春の入り口、揺らぐ心と体の整え方

2月の後半になると、寒さはまだ残っているのに、
どこか空気が変わってきたように感じてきますね。
日差しが少し明るくなったり、
風の匂いが変わったり。
それに合わせるように、心も体も、なんだか落ち着かなくなることがみられます。
子どもがそわそわしたり、
感情が表に出やすくなったり。
大人も、理由はないのに焦ったり、
小さなことでイライラしたり。
でもそれは、不調ではありません。
体が、春の訪れを感じ取っている自然的なサインです。
私たちの体は、頭で季節を理解するよりも先に、
自然の変化をちゃんとわかり、身体や心は感じとっています。
ー 体は、芽吹きの準備を始めている
東洋医学では、春は「肝(かん)」の季節とされます。
肝は、気の巡りを整え、感情の流れを支える働きを持つ存在です。
冬のあいだ、内側にためてきたエネルギーは、
春が近づくと、少しずつ外へ向かおうとします。
このとき、体の中では
「動きたい力」と「まだ休みたい力」が同時に存在しています。
そのズレが、そわそわ感や、感情の揺れとして
表に出やすいのが、2月後半です。

春の手前に出やすい、親子のサインというのがあります。
子どもは
・落ち着きがなくなる
・感情が出やすくなる
・急に甘えたくなる...
大人は
・ため息が増える
・気持ちが急く
・首や肩がこわばる...
など、このような感覚になるのは
「切り替えの途中にいる」状態を表しています。
ー 2月後半に大切にしたい養生の考え方
この時期の養生で大切なのは、無理に整えようとしないこと。
体はすでに、春の芽吹きが来ることを知っています。
その時に私たちができるのは、その動きがあることを信じて、やさしくサポートしてあげることです。
① 気を巡らせる(やりすぎない)
春に向かうエネルギーは、巡らせてあげると落ち着きます。
・背伸びをする
・体を左右にゆらす
・軽く散歩をする
激しい運動は必要ありません。
「少し動く」くらいが、ちょうどいい。
子どもと一緒に、「のび〜」と声を出すだけでも十分です。
② 感情をためこまない
春の気は、上にのぼりやすく、感情も外に出たがります。
イライラしたり、不安になったりするのは自然なことです。
・深呼吸をする
・気持ちを言葉にする
・紙に書き出す
などを通して、外に出してあげることで、気はまた、穏やかに巡り始めます。
③ 親子で「整う時間」をつくる
この時期は、一緒に笑う、一緒に動く、
一緒に触れ合うことが、何よりの養生。
・一緒に散歩する
・手をつないで歩く
・ふざけて体を動かす
安心感が、揺れやすい心をそっと落ち着かせてくれます。

そんなサインを台所から整える、春手前の養生食があります。
この時期の養生食は、
補うよりも、流れを助けること。
体が本来もっている動きを、
台所からそっと後押ししてあげるイメージをし食べたり調理したりしていきます。
2月後半のキーワードは
「巡り・香り・軽さ」です。
ー 少しの“苦味”で、巡りをつくる
菜の花、春菊、ふきのとうなど、
春に近づくと自然と出てくる、少し苦味のある春前の野菜。
この苦味は、冬のあいだ体にたまりやすかった重さを、
外へ動かす手助けをしてくれます。
さっと茹でて醤油麹や塩麹と和えてみましょう。
ー 甘みのある野菜で、緊張をゆるめる
キャベツ、玉ねぎ、人参など、
加熱すると甘みが出る野菜は、
揺らぎやすい心と体をやさしく落ち着かせてくれます。
具だくさんの味噌汁に甘酒や、蒸し野菜にして甘酒を使ったつけだれで。
「ちゃんと食べさせなきゃ」より、ほっとする味を大切にしましょう。
ー 香りを添えて、気を動かす
春に向かう時期は、香りがとても大切な養生になります。
柑橘の皮をほんの少し刻んで添えたり、
すりおろした生姜を少量加えたり。
子どもには、
「いい匂いだね」と声をかけながら。大人は食事に取り入れてみる。
それだけでも、食事が養生の時間になります。
ー 飲みものは、温かく・やさしく
冷たい飲みものは控えめにして、
番茶やほうじ茶、白湯をゆっくり。
喉を潤すためというより、体の中をゆるめるために飲むイメージです。
忙しい日こそ、一息つく時間を、台所からつくってあげましょう。
この時期の食事は、体を変えようとするものではなく、
体が変わろうとしているのを支えるもの。
芽吹きの準備をしている体に、
「大丈夫だよ」と伝えるような、そんなごはんにしていきましょう。
2月は、冬でもなく、春でもない、あいだの季節。
揺れるのは、体がちゃんと季節を感じ取っている証です。
焦らず、ととのえることをがんばらない!
ゆるめる、巡らせる、その動きを信じていきましょう。
養生家 鈴
