冷えはじめの体に、あたたかい循環を

「 巡りを整えて、秋を心地よく過ごす 」
朝起きると、足先がひんやりとしている日が多くなってきたり、
子どもと外に出れば、風が少し冷たくなってきて、肌寒さを感じる日が秋が深まってきていることを教えてくれます。
10月中旬からは、しっかりと“冷え”のサインが体にあらわれ始めている時期です。
気温の変化が大きくなるこの季節、体の内側ではエネルギーの流れ(気や血)がゆるやかに変化しています。
夏に外へと向かっていたエネルギーは、秋から内に戻る準備を始め、冬を迎えます。
このように、身体も季節に合わせて使い方が変化しているのです。
昼と夜の寒暖差が大きくなり始め、体温調整が追いついていない人が多く見られます。
まだ冷たい飲み物を習慣的にとっていたり、薄着のままで過ごしてしまうこと
さらに、夏に冷えた飲み物や冷房で疲れた胃腸のまま秋を迎えると、血流や代謝が下がり、体の“内側からの冷え”が進みます。
冷えは「気(エネルギー)」の巡りの滞りでもあります。
気が巡らないと、血流が悪くなり、体の末端が冷たくなる。
逆に言えば、気が巡れば体も心も自然に温まります。

ー 秋の養生のポイント
冷えを感じやすいこの季節には、特別なことをするよりも、
“日々の小さな温め”を積み重ねていくことが大切です。
・朝起きたらまず白湯を飲む(冷えた内臓をゆっくり起こす)
・お腹、腰、足首を冷やさない(腹巻きや靴下で温める)
・温かい飲み物を選ぶ(生姜湯、黒豆茶、ゆず茶など)
・ゆっくりと深呼吸し、軽くストレッチする
呼吸を深めると、体の巡りが自然に整い、心まで落ち着いていきます。
冷えは「体」だけでなく「心」にもつながっています。
だからこそ、温めることは“安心をつくること”につながっていきます。

ー 台所からの温めケア
温めの養生は、台所からもできます。
・かぼちゃと塩麹のとろみあん
やわらかく煮たかぼちゃに、塩麹と少しの片栗粉でとろみをつけるだけ。
ほんのり甘くて、体を内側からあたためてくれる秋の小鉢です。
疲れた胃腸をやさしく包み、冷えやすいお腹を守ってくれます。
ごはんにかけてもおいしい一品。
・朝の生姜甘酒
一日のはじまりにぴったりの、巡りをよくする朝の一杯。
温かい甘酒にすりおろし生姜を少し加えると、体の芯からぽかぽかと温まり、眠っていたエネルギーがふっと目覚めていきます。
冷えが気になる朝に、親子でゆっくり飲みたいドリンクです。
・根菜の醤油麹炒め
ごぼう、れんこん、にんじんなどの根菜を、醤油麹で炒めてシンプルに。
噛むほどに甘みが広がり、体の奥からじんわり温かくなります。
根菜は「気と血」を補う食材。冷えやすい女性や成長期の子どもにもぴったりです。
秋の冷えは、冬の不調のはじまり。
「少し冷えるな」と感じたら、それは体からのサインです。
温かい飲み物、湯船、柔らかな布、そして台所から聞こえる笑い声
そんな日常の中の“あたたかさ”が、体の巡りを整えてくれます。
体が温まると、心にも余白が生まれます。
今日の一杯、今日のスープが、あなたと家族の体をやさしく包み、
秋の深まりを心地よく過ごす力になりますように。
自分のからだと心のケアを先にしていきましょう。
養生家 鈴

