揺れる気持ちに、安心を重ねる

3月も後半に入ると、空気はすっかり春めいてきます。
やわらかい日差し、少しずつ増えていく緑。
自然は軽やかに動いているのに、どこか、心が落ち着かない。
そんな感覚を覚えることはありませんか。
春は「変化」と「ゆらぎ」の季節
3月は、別れと始まりが重なる時期。
卒業や進級、環境の変化、人との距離の変化。
目に見える変化だけでなく、見えないところでも、
私たちはたくさんの“切り替え”を経験しています。
子どもは、言葉にできない不安を抱え、
甘えや落ち着かなさとして表現することがあります。
大人もまた、気づかないうちに気を張り、
心の奥で緊張を抱えています。

春は、感情が動きやすい、
東洋医学では、春は「肝(かん)」の季節。
肝は、気の巡りだけでなく、感情の流れとも深く関わっています。
春になると、内にあったエネルギーが外へと動き出し、
同時に感情も動きやすくなります。
涙もろくなる、イライラする
不安になりやすい、子どもが甘えっぽくなる
それは動き出したエネルギーが、出口を探している状態です。
この時期に大切なのは「安心という土台」
変化の多いこの時期に必要なのは、整えることよりも、まず安心すること。
安心は、気を落ち着かせ、体の巡りを穏やかに整えてくれます。
日常の中にあるほんの小さな安心が心をほどいてくれます。

子どもも大人も同じこと。
安心は、与えるものでももらうことでもなく、一緒に育てていくものです。
ー 台所から整える、心を守る春のごはん
春は「動き」の季節であると同時に、心が揺れやすい季節。
だからこそ食事は、軽やかさの中に、安心感とやさしさを含ませることが大切です。
● 体をゆるめる、あたたかい味
味噌汁ややわらかく煮た野菜。おだしの効いたスープ
あたたかく、なじみのある味は、
緊張している体と心をゆるめてくれます。
「いつもの味」があることが、安心の土台になります。
● 甘みで、心を落ち着かせる
さつまいも、かぼちゃ、玉ねぎ。
自然な甘みは、気持ちの揺れをやさしく受け止めてくれます。
疲れているときほど、強い味ではなく、ほっとする甘さを。
● 巡りを助ける、軽やかな一皿
春キャベツ、青菜のおひたし、少しの酸味(酢・柑橘)
動き出した気が滞らないよう、軽やかさを添えることも大切。
● 「一緒に食べる」が何よりの養生
どんなに整った食事でも、ひとりで急いで食べるより、
誰かと一緒に、ゆっくり食べる時間のほうが、体と心を満たしてくれます。
食事は、栄養だけでなく、安心を取り込む時間でもあります。
春は、動きの季節。そして、揺らぎの季節。
どちらも自然なことですから、
整えようとしすぎず、無理に前に進もうとせず、安心できる時間を重ねていくこと。
それだけで、体と心は、自然と次の季節へと進んでいきます。
揺れることも、春の一部。そのままのリズムで、大丈夫ですよ。
養生家 鈴

