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記事: 保健室からみえた食卓のかたち ー 朝のお味噌汁編 ー

保健室からみえた食卓のかたち ー 朝のお味噌汁編 ー

はじめまして。元養護教諭のPP塩湯慈恵です。

長年保健室で子どもたちの成長を見守るなかで、私は子どもたちの心や身体の健やかさだけでなく、その背景にある暮らしにもたくさん触れてきました。

そして今2児の母として、母から受け継いだ暮らしの知恵、麹のある暮らしを日々楽しんでいます。

このコラムではそんな私が日々大切にしている食や暮らしを通して、食卓から繋がる心と体の健やかさについて綴っていきます。

完璧じゃなくてもいい。忙しくて手を抜く日もあるし、思うようにいかない日だってあります。

それでも、「これならやってみようかな…」そんなふうに思える小さなヒントをお届けできたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いいたします。


今日はまず、我が家の朝の食卓の風景から…。


まだ静かな朝の台所。

火にかけた土鍋のふたを開けると、湯気がふわりと立ちのぼります。
冷蔵庫にある野菜を刻んで、煮て、味噌をとく。


我が家の朝は、そんな一杯のお味噌汁から始まります。

…なんていうと、毎朝きちんと作っているようですが、実際はそんな日ばかりでもありません。

おにぎりだけで済ませる朝もあれば、

子どもたちに「急いで!」なんて声をかける日もあります。

それでも、お味噌汁を作れた朝は、なんだか少しだけ心が整う気がします。

数年前から、そのお味噌汁に甘酒をひとさじ加えるようになりました。
きっかけは麹を暮らしに取り入れるようになったこと。

お味噌汁に加えると、味がまろやかになり、やさしい味わいになることを知りました。

忙しい朝でも、その一杯でどこか少し余裕が生まれます。


朝の食卓のかたち…そこには家庭それぞれの風景があります。


保健室では、子どもたちに「朝ご飯、食べてきた?」と聞くことがよくあります。

「パン食べたよ」

「寝坊して今日は何も食べてこなかった」

一方で、

「お味噌汁飲んできた」


「お母さんが作ってくれた」

と答える子もいます。

そんなとき、私は気がつくといつも

「具はなんだった?」と続けています。

「たまねぎ」とか「昨日の残り」とか…そんなやりとりが続きます。

その会話は、食べたものというより、その子の朝そのものを見ているようで。保健室で見ているのは、体調だけではなく子どもたちの日々の暮らしの一場面なんだな…と感じる瞬間でもあります。

もちろん、朝ごはんに正解はありません。


慌しい朝は、何か口にするだけで十分な日もあります。

それでも、「お味噌汁を飲んできた」という子どもたちの言葉には、どこか安心感があります。

お味噌汁には、特別なごちそうのような華やかさはありません。
けれど、体を温めて、お腹を満たし、どこかほっとする…

そんな力があるように感じます。


祖母の台所にも、

母の台所にも、

お味噌の香りが毎日当たり前にありました。


代々受け継がれてきた暮らしの知恵。その香りは安心そのものだったのかもしれない…自分も母になった今、そんなことを思います。


母から子へ。


それは特別な言葉ではなく、日々の何気ない食卓からそっと繋がれていくもの。

お味噌汁は、冷蔵庫にあるもので十分です。

ねぎだけの日もあれば、お豆腐だけの日もある。

昨日の残り野菜だっていい…完璧じゃなくても、ちゃんとおいしいお味噌汁になりますから。

温かいお味噌汁の記憶は不思議なもので、子どもの心と体に残るものです。

もし明日の朝、少しだけ余裕があったら、お鍋にお湯を沸かしてみてもいいかもしれません。

そこに冷蔵庫にある野菜を入れて、味噌をとく。

そして、できれば甘酒をひとさじ。

その一杯が、あなたとあなたの大切な人の今日という一日をそっと充たしてくれますように。

 

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